「月夜」島崎藤村 「ゆふぐれしづかに」と合わせて鑑賞

昨日ご紹介した「ゆふぐれしづかに」ですが、対といいますか、夕暮れから時が流れ「月夜」という作品があります。




 月 夜  島崎藤村


しづかにてらせる
     月のひかりの
などか絶間(たえま)なく
     ものおもはする
さやけきそのかげ
     こゑはなくとも
みるひとの胸に
     忍び入るなり


なさけは説くとも
     なさけをしらぬ
うきよのほかにも
     朽ちゆくわがみ
あかさぬおもひと
     この月かげと
いづれか声なき
     いづれかなしき


これら二作は、「若菜集」に入っていますが、そのときはふたつまとめて「小詩二首」の「一」と「二」でした。その後、「一」が「ゆふぐれしづかに」、「二」が「月夜」となったのです。


「ゆふぐれしづかに」は、8、6音の繰り返し、「月夜」は8、7音の繰り返しの文語定型詩で、5、7音を使う藤村には珍しい作品です。


ひらがなと漢字の割合なのか、音数の印象なのかわかりませんが、「ゆふぐれしづかに」は内容の割にあたたかく、「月夜」は反対に冷たく感じます。

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